1/9 『世界征服は可能か』

岡田斗司夫の『世界征服は可能か』、どこか心揺さぶられる本を読む。
著者の僕たちの洗脳社会世界征服は誰もが一度は憧れる言葉なのだ。

著者曰く世界征服は可能という。その過程を順を追って纏めていく。
1.世界征服の目的。(大)
(1)人類絶滅型
(2)お金がほしい
(3)支配されそうだから支配する。
(4)アクを広める
(5)目的意味不明

(1)は、割と異星人の侵略に多いケース。そうだよね。人間が人類滅亡させてしまったら、支配しても意味ないよね。自分以外だれも居なかったら、嬉しくないし、これから飯、誰が作んのよ。まさか自分で作るっていう結末?
他人の承認を得ているから、満足できるのであって、他人なしには喜ぶことはできない。
誰だってカッコイイとこ見せたいじゃん。

(2)は、せっかく支配したのに奪ったお金でモノを購入しようという抜けた印象。頭悪いよね。それだったら、真面目に働いて金持ちになったほうがよっぽどいいんじゃない。

(3)の目的は、不安でいっぱいなので、やられる前にやるという恐怖心がみえるもの。
例えて言うなら小心者の小リスだね。
著者はやられた方(負けた方)が悪だという。うーん、そうかな?
なにかすんなり納得行かない。
悪とは、その次代に信じられているものを壊すこと。
互いに主張があって、その主張が負けるということは、その主張はその次代に信じられているものをを壊そうとしたってことで悪ということかな?

(4)悪を広めるは、なかなか珍しいタイプらしい。普通、自分が世界征服したら、自分以外の物が悪いことをするのを防ぎたいはず。だって、自分の所有物が脅かされるんだから。
これには、ドラゴンボールのピッコロ大魔王が該当するらしい。
悪を広めることが好きという、さすがピッコロさん。
(最近ではすっかりいい人になっちゃったけど。余談です。)

(5)は、ピラミッドを子供に作らせる。作らせて目的完了。なんじゃそりゃ。
お金払って、作ってもらってもいいんじゃない。武力行使しなくてもさ。

2.支配者のタイプ
(1)魔王型
(2)独裁者型
(3)王様型
(4)黒幕型

いろんな性格いるなー。

3.世界征服の手順
(1)人材確保
世界征服の目的に賛同してくれる人を対象にさがす。探すときは、フレンドリーに。
いきなり失敗したら地の果てまで追って的なのはNG。そんな奴いたら、誰がそんなとこ入るかよって思うもんね。やっぱり最初はぬるま湯に浸からせて徐々に温度を熱くしていくのが、スムーズだよね。導入のハードルは低くがポイント。

(2)資金調達と設備投資
世界を征服するにもお金がかかります。調達源は目的に賛同してくれる人。または俺が世界を支配したら、お前の嫌いな〇〇を消してやろう。そのかわり分かってるよね。などなど
オーソドックスだけど、銀行強盗てものやっぱり出てくる。だけど最近の銀行は各行員のデスクの下には防犯装置が付いている。そのため多くの人を刈り出し、行員のボタンスイッチオンを阻止しないといけない。最低10人は必要?
で、お客が入ってくるのをこれまた阻止し、セコム等が通っても怪しまれないようにしなきゃいけない。また、日銀のような所からお金を盗みまくるとインフレを起こすからそこそこ盗む程度でなきゃいけない。
結構疲れますね。これ綿密に計画を練るのは。
で、ようやく獲得した資金で、人造人間、核兵器を製造。

(3)作戦、武装
作戦は合理的に立てましょうって、まぁ、そりゃそうだよね。
武装は、軍または銃砲店で仕入れましょう。仕入れ方は、ターミネータのごとく店まで出向いて、店主を殴って奪うという簡単な方法。これは、(2)の設備投資とかぶる部分あり。上は、わざわざお金を払って購入するけど、こちらは力で奪う。


(4)部下の管理、粛清
悪の組織は、一日に赤ちゃんは5千人生まれるという情報を入手。悪の軍団はまだ結成されたばかりなので4人しかいません。『一人一日辺り1,250人だ』と言いたいだけど、現実にするには一人一時間あたり52人のノルマ。
寝る間を惜しんで、殺しても殺しきれない。
これでは、あきらめムードが蔓延してしまうので、『仕方なく一人100人消してくるまで、かえってくるな』というのが精一杯。
たまらなくなって、抜け出すものも出てきたりする。それでは組織の士気が下がってしまうと感じたBOSSは、実力派の暗殺者送り込む。しかし、逃げ出した相手も今まで生き抜いてきた強者。そう容易くはやられない。かえって暗殺者がやられてしまったりする。本来は、世界征服のために教育してきた部下が死んだり、逃げだりで大変。
また、部下には出来る限り丁寧に事情を説明することがポイント。世界征服は激務なので、部下に隠し事をしたままではやってられっかとなってしまう。
何のために頑張るのかを教えてあげれば、部下も実行する意味をもてる。

これって、結局会社(社長)が利益獲得を目的に手順(人材、資金調達、計画、管理)をしているのと同じ構造。
それが合法か、非合法的かの違い。

4.世界征服は可能か。
可能である。が、それほど旨みがない。
現在は、自由経済(資本主義)、ネット社会。
今の世界を征服をしても、もはや階級社会が存在しない。=特権階級的なうまみがない。
階級的特権とは、金さえ出せば、権力さえあればこんなにうまいもんが手に入るという立場。現在は誰でも同じ情報を共有し、お金さえあればほしい物が手に入ってしまう。
それなら世界を征服することに意味はなく、金持ちになればすんでしまう。
もし、特権的階級を復活させるなら、自由経済とネット社会の破壊をすること。
資本主義の弱点は貧富の差の肯定。ネット社会は、学ぶプロセスの軽視。
貧富の差をなくすようなボランティアなどの非営利団体の立ち上げ。そして、リアルな人と人とのコミュニケーションの促進。合言葉はお年寄りを大切に、ちゃんと学校で勉強しよう。


「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

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